監修・VR制作:T-Photoworks 、株式会社スタジオエビス
筆者・ドローン運用・制作:AERIAL DESIGN
VRカメラをドローンに搭載して撮影した映像は、
VRゴーグルを使って視聴すると、まるで空中を自由に浮遊しているような没入感を体験できます。
この技術は、ドーム型スクリーンへの上映、任意の画角での切り出し、
さらには3Dモデルの作成など、エンターテインメントから産業用途まで多岐にわたる可能性を秘めています。
現在のVRカメラの仕組みは、360度の視野をカバーするために複数のカメラを異なる角度で配置し、
それぞれの映像を同期・合成することで360度映像を作成します。
より良質で高画質な360度映像の作成には、カメラの台数を増やしたり、
大型のイメージセンサーを搭載した高解像度のカメラを使用する必要があります。
しかし、これに伴いカメラ自体の重量やサイズが増大してしまい、
それらの機材をドローンに搭載するには大きなペイロードを搭載できるドローンが必要になり、
機体そのものが大きくなります。
このため、大型ドローンを安全に運用するには広いスペースが必要で高性能なVRカメラを搭載できても、
運用環境が制限されるという課題が残ります。
VRカメラ吊り下げ式ドローン

VRカメラをドローンに搭載して運用する際、最も一般的な方法は、
汎用ドローンにVRカメラを吊り下げて使用する運用スタイルです。
この方法の大きなメリットは、市場で信頼性の高いドローンやVRカメラを活用できる点にあります。
さらに、積載方法を工夫することで、さまざまなシーンでの運用が可能になります。
快適で安定した運用を実現するためには、いくつかの工夫が求められます。
たとえば、積載物が揺れないようにするためのダンパー機構を導入したり、
ドローンのスキッド(着陸脚)を取り外して専用の発着台を用意したりする必要があります。
これらの工夫を取り入れることで、同じドローンを他のプロジェクトでも活用できる柔軟性が生まれるだけでなく、
市場に出回っているVRカメラをそのまま使用できるため、
映像の後処理やコンテンツの制作も比較的スムーズに進めることが可能です。

VRカメラ吊り下げ式ドローン運用の様子



振動や揺れを抑えるため色々なダンパー使用したり、マウントを制作してみました。
ただし、カメラを吊り下げる方式では、ドローン本体が上方に写ってしまうため、
上方の映像を撮影することはできません。
上方視野を別のカメラで補完することも可能ですが、吊り下げたカメラの揺れや動きと完全に同期させるのは難しく、
不自然な映像のつなぎ目が生じる可能性があります。

さらに、上方カメラと下方に吊り下げたカメラとの物理的な距離が広がるほど、
死角が増加してしまいます。
その結果、被写体との距離を十分に取る必要が生じ、撮影環境や方法が制約されてしまいます。
例えば、屋内での撮影や渓谷を飛び抜けるシーン、あるいは林間を通り抜ける運用には適していないと言えるでしょう。

独自制作のVRカメラを使用する
独自制作のVRカメラ(カメラを必要な視野角に配置して、マニュアルで映像の結合を行う)を使用すると、
機体の上部と下部に取り付けるカメラの数をある程度任意で振り分けられるので、
必要最低限の重量で高クオリティのVRコンテンツを制作することができます。

DIYのVRカメラを取り付けたMatrice600
吊り下げ式と比べると、機体とVRカメラ間で揺れや振動を軽減させる機構を設けられないので、
繊細な操縦が必要であり、風による影響を受けやすい屋外で運用を行うとブレた映像が生じる可能性があります。
吊り下げ式では不向きな屋内での運用では良い成果が得られると思います。
広い室内(体育館)で独自制作のVRカメラを取り付けたMatrice600を飛行させ制作したVRコンテンツ。
360度同じクオリティの映像が視聴可能。上下の繋ぎ目も破綻していません。
吊り下げ式VRドローンの課題をクリアしたVR撮影専用ドローンを制作
死角をなるべく減らすために、ドローンの体格寸法を小さく、
上方カメラと下方カメラの距離を短く、かつカメラの揺れを同期させるためには、
専用のドローンを制作する必要があります。
fpvドローン有名メーカーのBETAFPVがInsta360 ONE Rを搭載するための専用ドローン
「X-Knight 360 FPV Quadcopter」を出しています。
https://betafpv.com/products/x-knight-360-fpv-quadcopter-hd-digital-vtx?srsltid=AfmBOorYE0QgE4v6hrzf4alTslBsRtXEx7p41ec1CFVtomMsl_Y0ileE
Insta360 ONE Rは1インチ魚眼レンズカメラを前後に配置したようなVRカメラで、
小さい画面向けのコンテンツ以外では映像のクオリティ的に使いづらいです。
弊社では、高解像度のVRカメラを搭載するための揚力がある、
小型のVR専用のドローンを制作してみました。

7inch 8個のモーターを使用したシネマカメラ搭載用FPVドローンをベースに制作したVR撮影専用ドローン
直径50cm弱のドローンで高解像度16kVRが撮影可能です。
機体が映り込まない距離ギリギリの視野角にカメラを配置しているため、
死角が少なく、被写体とかなり近い状態でも360度映像が破綻しないです。
高回転のプロペラで揚力を出している、ジンバル機構がないという特性上、
飛行時間が短く、繊細な操縦が必要、強風時は映像がブレる可能性があるなど、
デメリットはいくつかあるものの吊り下げ式VRドローンではできないVRの撮影が可能です。
下の動画では、DIY VR撮影専用ドローンを使用して林間を抜け、橋梁をくぐる撮影を行い制作したVRコンテンツです。
この機体だからこそ撮影が可能な、狭い木々の間を360度見回せる映像は圧巻です。












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